三國です。2012年1月26日に担当させて頂いたミニモニ。をアップします。

ED50 of desflurane for laryngeal mask airway removal in anaesthetised adults

J. K. Makkar et al.  Anaesthesia, 2011, 66, 808-11

 

背景

◎ラリンジアルマスク(LM)を抜去する適切なタイミングについては議論が続いており、麻酔が浅いと気道の過剰な反応を誘発し、咳やLMへの噛みつきなどの有害事象やLMの損傷を引き起こす可能性がある。逆に麻酔が深すぎると誤嚥や気道閉塞の可能性が高くなるかもしれない。

◎LM、デスフルランを用いて全身麻酔管理をした場合、LMを抜去するタイミングはいつがよいのだろうか?

 

調査方法
 
◎対象
 
子宮頸癌に対するセシウムインプラント植え込み術を予定されたASA status I?II、30?50歳の29名の患者(除外条件により実際に調査を行った患者は27人)。

 

◎麻酔方法

全投薬は無し。Propofol 2-3mg/kg、Lidocaine 0.3mg/kg を用いてLMクラシックを挿入。術中はBIS=40-50となるように呼気デスフルラン4-6%で維持(酸素1ℓ/min、亜酸化窒素1ℓ/min)。呼吸は自発呼吸で行われ、ETCO2 > 50mmHg の場合のみバッグアシストを行った。

◎亜酸化窒素は手術終了前に投与中止とし、手術終了後に目標のデスフルラン濃度に調整し、肺胞濃度と脳内濃度の平衡を得るために10分以上経過観察した。10分以上の経過観察の後、カフを脱気せずにLMを抜去し、フェイスマスク下で酸素が投与された。

◎LM抜去後に気道閉塞が発生した場合には頭部後屈が行なわれ、それでも気道閉塞が続く場合には下顎拳上が行われた。

◎呼吸不能が30秒以上続く場合にはマスク換 気で呼吸がアシストされた。

◎LM抜去1分以内に体動、咳、歯ぎしり、息こらえ、喉頭痙攣、呼吸不能等が発生した場合には unsuccessful と見なされ、これらの現象が一つもない場合には successful と見なされた。

◎調査の最初の患者の目標デスフルラン濃度は4%に設定され、その後の患者の目標濃度は Dixon’s up and down method に従って前の患者の目標濃度の0.5%低値(successful 時)、又は高値(unsuccessful 時)とされた。

 

結果

◎患者の平均年齢は46.6歳、平均体重は54.4kg、平均身長は156.9cm、平均手術時間は17.7minだった。

◎27人中、体動が7人、歯ぎしりが3人、体動・歯ぎしりの両方が2人にみられた。咳、喉頭痙攣、呼吸不能、SpO2低下は見られなかった。

◎解析の結果、ED50(50%の確率でスムーズなLM抜去が可能な呼気デスフルラン濃度)=2.4%、ED95=3.8% であった。

 

考察

•       類似の論文(M. T. Hui et al. Anaesthesia 2011, 66, 274-7)ではED 50 = 5.29%、 ED 95 = 5.55% と報告された。

•       Hui らの報告ではデスフルランの最初の目標濃度を 6% としており、最初の目標値に successful となる最少濃度を用いるべき Dixon’s up and down method では不適切な設定であった可能性がある(最初の7例が連続して successful だった)。

•       Hui らの報告ではデスフルランの濃度変化を 0.1% ずつ行っており、最初の設定濃度の 1/10 程度の変化率が適切とされる up and down method においてやはり不適切だった可能性がある(M. Paul et al. Anesthesiology 2001, 95, 1362-70)。

•       今回の報告では亜酸化窒素の使用が結果に影響した可能性も考えられるが、LM抜去時には呼気中の亜酸化窒素は検出されておらず、大きな影響はないものと思われる。

•       セボフルランについては ED 95 = 1.18% (0.7 MAC 程度) との報告がある(Shim TH et al. Anesth Analg 2005, 101, 1034-7)。

 

結語

•       クラシック型ラリンジアルマスク、デスフルランを用いて麻酔維持をした際のラリンジアルマスク抜去の ED 50 は2.4%、ED 95 は 3.8% であり、呼気中に3.8%程度のデスフルランが存在する状態でのラリンジアルマスク抜去が望ましい。

 

P.S. 今回の調査ではオピオイドを使用していないので、岩崎教授が指摘された通りオピオイドを使うような普段の麻酔ではED50やED95はさらに低値だと思われます。