皆様、お疲れ様です。大友です。

今回は、ロクロニウムによるアナフィラキシーに対して、スガマデクスの投与が有効であるとの報告を紹介します。似た内容の論文や症例報告も多数発表されておりますので、興味のある方はご一読下さい。以下に要旨をまとめます。

 

—-要旨—–

  • 筋弛緩薬は麻酔関連薬剤の中でアナフィラキシーの原因となる頻度が高い薬剤。
  • ロクロニウムは現在、最も多く用いられる筋弛緩薬の一つであり、当然、アナフィラキシーの原因薬剤となる頻度も高いと思われる。
  • ロクロニウムによるアナフィラキシーの発生頻度は地域差や性差があるとされており、ノルウェーでは15万例に29例と発生頻度が高く、特に女性に多いとされている。
  • 近年、ロクロニウムのアナフィラキシーに対し、スガマデクスの投与が症状の軽減に有効であったとする報告が見られる。
  • Sugammadex in the management of rocuronium-induced anaphylaxis. British Journal of Anaesthesia 2011 ; 106 : 199-201.
  •  Possible mitigation of rocuronium-induced anaphylaxis after administration of sugammadex. J Anaesthesiol Clin Pharmacol 2012 ; 28(1) : 127-8.
  • これらの報告は、スガマデクスがロクロニウムを包接することで、一連のアナフィラキシー反応を止める機序について、不明としている。
  • Clarke等は、ロクロニウムのアナフィラキシーに対するスガマデクスの有効性を検討する為、ロクロニウムによるアナフィラキシーの既往がある患者を対象とした皮内テストを行った。
  • The role of sugammadex in the development and modification of an allergic response to rocuronium: evidence from a cutaneous model. Anaesthesia 2012 ; 67(3) : 266-73.
  • それによると、ロクロニウムの皮内投与によるアナフィラキシー反応により、紅斑性皮疹がでた後、スガマデクスを皮内投与しても、皮疹の改善は見られなかった。
  • しかし、あらかじめロクロニウムとスガマデクスを混和したものを皮内投与した場合は、紅斑性皮疹は見られなかった。
  • これらのことより、スガマデクスがロクロニウムを包接することで、すでに起きているアナフィラキシー反応を止めることはできないが、ロクロニウムの抗原性は包接により失われると結論付けている。
  • スガマデクス自体によるアナフィラキシーの報告も国内外で見られる。
  • 松岡伸悦, 井上光, 岡崎加代子, 澤下泰明, 山蔭道明. スガマデクスによるアナイラキシーショックが疑われた1症例. 臨床麻酔 2012 ; 36(1) : 95-96.
  • Allergy to low dose sugammadex. Anaesthesia 2011 ; 66 : 217-9.
  • そのため、アナフィラキシーに際してスガマデクスを投与することは躊躇われることも考えられる。
  • しかし、ロクロニウムによるアナフィラキシーが強く疑われる場合には、選択枝の一つとなりうるのではないだろうか。

ちなみに、このようなスガマデクスの使い方は、当然、未承認・適応外です。自己責任でお願いします。