最近の胃エコー関連の4論文について大まかに解説し、胃エコーの流れを概観しました。

1. Anesthesiology 2009; 111:82-9
   「Ultrasound Assessment of Gastric Content and Volume」

【概要】 
:18人の健康ボランティアに、水・発泡性の水・サンドイッチを食べさせ、胃のCSA(cros)測定における、走査部位(前庭部、胃体部、胃底部)と、体位(仰臥位、右側臥位)比較も検証した。       

:36人の健康ボランティアで、飲水条件(絶食、100ml、200ml、300ml、400ml、500mlの水)と、体位(仰臥位と右側臥位)を変えて、胃前庭部のCSAを計測し、その相関を調べた 

【結論】  
1) 体位:仰臥位か右側臥位か?  → 右側臥位がよりよい

2) 部位の検討: 胃体部、胃底部、前庭部か?   → 前庭部(antrum)がよい。胃エコーでは、前庭部の計測が以後の流れになった。

3) CSAと飲水量の相関:  → 線形回帰直線 (r=0.859)

 

2. Anesth Analg 2011; 113: 93-7 「A Gastric Sonography in the Fasted Surgical Patient Prospective Descriptive Study」

【概要】

・絶食した200人の予定手術患者に胃エコーを実施(部位はantrum CSA)

・胃内容のグレード分け(3段階)を試みた

【方法・結果】 

Grade 0 (仰臥位と側臥位でCSAなし):  86人(43%)
Grade 1 (右側臥位のみでCSA観察)  :  107人(53%)
Grade 2 (両方でCSA観察)      :  7人(3.5%)

【結論】
グレード分けは有効。「リスク胃」:CSA>11.6cm2, >180ml, >2.8ml/kg(ただし、胃内容量は推測値)

 

3. Anesthesiology 2011; 114: 1086-92

「Clinical Assessment of the Ultrasonographic Measurement of Antral Area for Estimating Preoperative Gastric Content and Volume」

【概要】
・予定104人、臨時76人でCSAを測定(45°半坐位)
・導入後に、胃管で胃内容物を吸引(実測)(18Fr、15分間、5体位+胃管の出入れ)

【目的&結果】
1.CSAが計れるか? → 180/183人で計れた
2.CSAと胃管吸引量との関係は? →線形相関(r=0.72)
3.リスク胃(0.8ml/kg or 固形物吸引)の診断に有効か?
→ ROC曲線で検証(AUC=0.90)、 CSAカットオフ値=340mm2で、感度91%、特異度71%

 

4. Can J Anaesth 2012; 59: 416-423

「 Bedside ultrasound assessment of gastric content」

【概要】
・6人の健康ボランティアで、胃エコー(antrum CSA、右側臥位)を実施
・4種類の飲食(絶食・200mlアップルジュース、200mlミルク、サンドイッチとジュース)
→ 胃内容の性状を区別できるかを検証した。(量は主題ではない)

【結果】
・空腹時:卵型 or flat

・アップルジュース:”starry night”
・ミルク:エコー輝度が高い
・固形:frosted glass

 

<まとめ>
・胃のエコーは、まだ新しい話題で発展途上である
・エコー部位は「antrum CSA」、体位は「右側臥位」がスタンダード
・CSAと胃内容量は線形相関としてよいだろう
・リスク胃の目安には、まだばらつきがある 
→ CSA 4cm2以上(by 2011 anesthesiology)  vs  CSA 11cm2以上(by 2011 A&A)
以上