Comparison of recovery properties of desflurane and sevoflurane according to gender differences

E. Tercan et al.  Acta Anaesthesiol Scand  2005 Feb;49(2): 243-7

<背景>
セボフルランとデスフルランの麻酔後回復を比較した数多くの論文がこれまでに発表されているが、これらの吸入麻酔薬について性差を比較した報告は今までにない。
今回の研究ではセボフルランとデスフルランの麻酔後回復における性差の影響を調査した。

<研究方法>
対象:全身麻酔下で手術を受ける予定の20?60歳のASA PS I?IIの患者160名。
対象患者は男女に分けられそれぞれセボフルランとデスフルランのいずれかにランダムに割り当てられた(DES F = デスフルラン 女性、 SEVO F = セボフルラン 女性、 DES M = デスフルラン 男性、 SEVO M = セボフルラン 男性 の4群で比較された)。
フェンタニル1μg/kg、プロポフォール2mg/kg、ベクロニウム0.1mg/kgで麻酔導入、気管内挿管後、麻酔維持は50%酸素、50%亜酸化窒素、吸入麻酔薬(セボフルラン群は1?2%、デスフルラン群は4?6%)で行われ、麻酔深度はBIS値が40?50となるよう調節された。フェンタニルの術中追加投与は行われなかった。
術後、吸入麻酔薬を停止し呼気吸入麻酔薬濃度が半分になるまでは機械換気を行い、それ以降は自発呼吸が出現するまで手動換気が行われた。
吸入麻酔薬停止からの開眼時間や抜管時間、抜管後の見当識等について調査が行われた。

<結果>
年齢、体重、手術時間に群間での有意差はなかった。
術後、呼気吸入麻酔薬濃度が半分になるまでの時間、抜管時間、開眼時間はDES F より DES M の方が短かった(名前、場所などの見当識回復の時間、元のBIS値になるまでの時間には有意差は無かった)。
また、術後、呼気吸入麻酔薬濃度が半分になるまでの時間、抜管時間、開眼時間は SEVO F よりもSEVO M の方が短かった(名前、場所などの見当識回復の時間、元のBIS値になるまでの時間には有意差は無かった)。
またAldrete ScoreやDelayed Memory Recall Test では4群間で有意差はなかった。

<考察>
レミフェンタニル、プロポフォールで維持された麻酔では女性の方が男性よりも早く覚醒したとの報告がある(Hoymork SC et al. Acta Anaesthesiol Scand 2000; 44: 1138-44)。
プロポフォール、アルフェンタニル、亜酸化窒素による麻酔では男性に比べて女性の方が麻酔後回復が早いとの報告がある(Gan TJ et al. Anesthesiology 1999; 90:1283-7)。
上記のように静脈麻酔薬における性差の報告はあるが吸入麻酔薬については報告が限られている。
セボフルラン、イソフルランの比較では麻酔後覚醒時の吸入麻酔薬濃度には性差がなかったとの報告がある(Katoh T et al. Anesth Analg 1993; 76: 348-52)。
電気的侵害刺激に対して体動を防ぐためには女性の方が男性よりも20%高い濃度のデスフルランが必要であったとの報告もある(Grief R et al. Anesthesiology 2002; 96: 306-12)。
しかし結局のところ今回の調査で見られた性差による影響の確かな理由は不明である。
女性の方が分時換気量が少なく、吸入麻酔薬の排泄が遅いことが今回の結果をもたらしたのかもしれない。

<結語>
セボフルランやデスフルランによる麻酔からの回復は男性の方が女性よりも早かった。
今回の研究結果の理由を解明するにはさらなる研究が待たれる。