私は麻酔科医になることを決意し、旭川医大麻酔科で修行の日々を過ごしながら、末梢神経ブロックの魅力にとりつかれていきました。絶大な効果を得ることのできる“麻酔科医の有力な武器”であると認識し、先輩方に指導を受けながら、経験を積ませて頂きました。しかし、そのような中では自分の知っているブロックを行っていくことしかできないと思い、広く末梢神経ブロックについて勉強する機会を探しておりました。また局所麻酔薬や合併症に対する知識が足りていないと感じることもありました。その時に知ったのがEDRAです。ヨーロッパでは古くから末梢神経ブロックが行われており、ワークショップの数なども日本とは比べられないほどです。そのヨーロッパでお墨付きを頂けるのは自分にも自信になるのではと考えました。

まず受験資格が厳密なところに安心感を覚えました。臨床経験を示したボスの推薦状に加え、ESRAが認定しているワークショップの受講が必須です。その中でもCadaver Workshopという解剖されたご遺体から学ばせていただくWSは必須のものでした。今でこそ大きな国際学会では併設して開かれるようになってきていますが、我々が受講するためにはオーストリア大学で3日間のWSを受けなければなりませんでした。こちらに関しては別項(※1)に体験記もありますのでそちらを参照いただければと思いますが、今までの体表解剖学に対する認識がガラッと変わる衝撃の体験でした。私が麻酔科医として働き出してからブロックは超音波を使用して行うという認識が強かったのですが、古くからの英知の結集である体表解剖を理解すれば、きちんと神経の近くにブロック針を進めることができることを身をもって体験させて頂きました。

これらのWSを経てやっと受験資格が得られますが、試験については情報があまりに少なく、一緒に受験を決意した仲間たちと試行錯誤の日々が続きました。ESRAで推薦してくれている教科書が豊富であったり、ESRA HP上のEducation Centerの資料が豊富だったりと試験勉強を通じて優れた資料などとも出会えました。
もう一つの大きな壁は英語でしたが、“単語が分かれば、意味が通じることも多い”と一回り逞しくなれたことも、私の中では大きな出来事でした。
このような事前準備を経て受験しましたが、症例問題などでは悩まされるものも多く、末梢神経ブロックの適否やトラブルの対応など、“ブロックを行う者として求められているのは、こんなに広い知識なのか”と思わされました。そのような知識を問われる問題を前にして一次試験に合格できたのは、とても喜ばしいことであり、自信にもつながりました。資格を得られるということよりも、その過程で得たものは非常に多く、より一層ブロックの奥深さにとりつかれております。

勉強するのであれば、試験など関係ないと思われる方も多いとは思いますが、期日が決められた中での集中力は日々漫然と努力するよりも明確で達成感のあるものです。また目標に向かい挑戦し続けることは、人生にとっても必要不可欠な要素であると思います。
ただし、EDRA受験に際しては一緒に働いている仲間の協力は必須です。受験に行く他にWSにも行かねばならずヨーロッパへ1年で2度行かせて頂きました。残って働いていただいた先生方にも少しでも還元できるように、さらにブロックに精通していければと思っております。

旭川医科大学 麻酔・蘇生学教室 助教
小野寺 美子