第2回区域麻酔学会が4月24(金)-25日(土)に群馬県高崎市で開催されました。 旭川医科大学からは、笹川先生・小野寺先生・佐藤慎先生・私井尻の4名で参加しました。 演題は、 小野寺先生『遺残した留置カテーテルの位置特定に超音波画像が有用であった一症例』 佐藤慎先生『肩関節手術における超音波ガイド下持続肩甲上神経ブロックと腋窩神経ブロックの有用性:症例報告』 の報告がありました。 私は『超音波ハイド下持続大腿神経ブロックにおけるTuohy針のベベルの向きによる影響の検討』について発表させていただきました。 以下に区域麻酔学会の講演で学んだことを紹介させて頂きます。

●上肢のブロック ・腕神経叢ブロック(斜角筋間法)の際、ブロック針による神経障害のリスクを考慮すると中斜角筋内でも容量が多ければ効くし、横隔神経麻痺のリスクを考慮するとシース内ならば少量の局麻薬で十分であることが最近の見解。(横隔神経麻痺を防ぐ最小投与量は4.29ml!! ) ・斜角筋間法は上肢の運動神経遮断を来すとともに高頻度に横隔神経をブロックするので、 肩関節手術の際、肩甲上神経及び腋窩神経ブロックを選択的にブロックすることで有用な可能性がある。(但し、前胸壁付近の鎮痛が十分でない可能性も。)

 

●前胸壁ブロック

・Pecs block(大/小胸筋 間) :外側胸筋神経(100%)、内側胸筋神経(Almost)

・Pecs block(小胸筋/前鋸筋 間):内側胸筋神経(外側)、肋間神経外側皮枝、長胸神経

⇛得られる鎮痛領域は、T2-4は確実、T6まで効くことも。 前皮枝へのブロック効果は不明。胸骨外側縁の付近には効果がない印象。

・前鋸筋・肋間筋間ブロック:肋間神経外側皮枝、胸背神経

⇛長胸神経温存することで術中の損傷を見極められる!?胸骨外側縁の付近には効果がない!? Pecs blockは乳腺腫瘍手術の周術期鎮痛法としての地位を確立しつつあるが、広範囲にわたる乳房の支配神経をブロック単独で麻酔維持するのは困難。

乳房の感覚支配はT1-7と広範囲にわたるので、特に肋間神経外側皮枝を主としたブロックでは不十分。(乳輪部は前皮枝支配。色素で結構痛い;)

 

最優秀演題では、超音波ガイド下腕神経叢ブロック(斜角筋間法)の際の後方アプローチにおける肩甲背神経(DSN)と長胸神経(LTN)の位置についての検討がなされていました。 後方アプローチで中斜角筋を通る際、DSN・LTNに全く触れない場合は、たったの3割程度しかいないとのことで、 後方アプローチで腕神経叢ブロック(斜角筋間法)を施行する際は解剖学的位置をよく考え、神経刺激装置を用いるとより安全で、もし施行中に反応があれば進路を変えることが推奨されるとのご報告でした。

また、他の優秀演題では手術中に清潔野に入り、胸腔鏡下で傍脊椎ブロック施行し、リアルタイムに観察する検討が興味深かったです。 0.375%ロピバカイン20ml投与後チュービングし、穿刺は、肋骨に平行に画像を描出して外側から穿刺、脊柱に平行に画像を描出して尾側から穿刺、脊柱に平行に画像を描出して頭側から穿刺 の3つに分けて検討されていました。 どのアプローチでも壁側胸膜に膨隆を認め、薬液を入れる過程で胸膜からしみ出す様子が観察され、薬液は針の方向に関わらず、肋間間隙に沿って外側に広がるとの報告でした。 ちなみに中枢には肋骨頭まで広がり、更に薬液追加で交感神経幹に沿うように頭尾側へ広がりが認められたとのことでした。

他施設の報告やブロックの権威の先生方のご講演は、今後のデータ集めや研究に必要な知識やヒントが得られ、非常に勉強になりました。 日々の症例で大変お忙しい中、このような貴重な機会を与えてくださり、ありがとうございました!!

ちなみに…群馬と言えば、絹ソフト(繭のシルクプロテイン入り!!!)、下仁田ネギ、下仁田こんにゃく、ホルモン揚げ、おきりこみなどなど食も堪能させていただきました★

また、世界遺産に登録された富岡製糸場見学にも参加し、古き良き日本を感じることもできました!! 来年以降も参加できるように頑張っていきたいと思います。