当院におけるこれまでのながれ

  • 肺外科手術の鎮痛法として、PVBを導入した。
  • 血中濃度の測定を行った。0.375%ポプスカイン30mLの投与は局所麻酔薬中毒の観点からは安全性が確認できた。
  • 鎮痛法として6mL/hの持続投与からCADDを使用した間歇投与を導入した。
  • MICSにPVBを行い術場抜管も可能になった。

一方で

  • 肺外科手術ではとにかく早期の退室が望まれる点と、胸腔鏡手術が主となったので、PVBはほとんど行えなくなった。(時間がかかる!!)
  • MICSについても、術者の要望により、早期の退室が望まれるためICUで行われるようになった。
  • 果たして深夜のICUという人手の足りない環境で、家族面会が終わった後に、ブロックの中でも難易度が高いとされるPVBのチュービングをおこなうメリットがあるだろうか?
  • チューブの固定法も変わり、本当に十分な鎮痛効果が得られているだろうか?

IVPCA+Dexで十分じゃないの? という意見も・・・

読んだ論文は Dr.BlancoのSerratus Plane Block: a novel ultrasound-guided thoracic wall nerve block. Anesthesia 2013,68,1107-1113.

背景) QLBやPECSBをはじめとして新しい体幹部の神経ブロックが注目されている。Serratus Plane BlockはEpiやPVBとの比較もされはじめているが、主に対象は乳癌でありPECSと混在され確実なブロックがされているとは言い難い。また、持続の介入研究の報告はない。

特徴)簡単である!! 仰臥位でできる。 気胸のリスクがほとんどない。 圧迫できるのでPVBより安全?

方法)詳細は割愛するが、図は一部まちがっている。Blancoのoriginalでは前鋸筋の表面にまいたほうが、広がりや持続が優れていた。ただし、前鋸筋と肋間筋の間に投与する報告が混在している状況。

感想)手技としては容易であるが、今後PVBの代用としてSPBが行われる時がくるのか?あくまで体表のブロックなので、切断された肋間筋は痛いのでは? といった疑問が残る。

個人的な感想としては、この末梢神経ブロックの領域ではあまりに簡単に新しい種類のブロックの報告がされているが、臨床的にこれまでの方法と同等の鎮痛効果があるとは実感できていない。数年たったら淘汰されていく可能性もあると思っている。