Retrolaminar block: analgesic efficacy and safety evaluation, Journal of Anesthesia(2016) 30:1003–1007

 

を紹介し、議論しました。

 

【背景】

Retrolaminar block(RLB)は

・Paravertebral block(PVB)のlaminar approachとしても知られ、胸壁や腹部の体性痛に対して有効と言われる。RLBは上肋横突靭帯を超えない分、PVBに比べると鎮痛効果は劣ると考えられる。

・しかし、その鎮痛効果についてRetrolaminar block(RLB) vsParavertebral block(PVB)で前向き二重盲検で比較した研究は無いため、両者を比較した

 

【方法】

(1)対象:

・18~90歳の片側の非定型根治的乳房切除(含:腋窩郭清)

・2015年6月〜2016年1月

 

(2)除外:

ASA Ⅲ以上の者、今回使用する薬剤にアレルギーがある者、日常的にNSAIDsやopioidを使用している者など

→前向き、二重盲検で比較

 

(3)麻酔方法:

・麻酔はpropofol、remifentanilによるTIVA

・気道はi-gelで確保(筋弛緩も使用)

・橈骨動脈に圧ラインを確保(22G)

・手術終了30分前にdroperidol:0.5mgとacetaminophen:1000mgを投与

・筋弛緩はsugammadexで拮抗

・覚醒後に疼痛があればfentanylを50μgずつ投与→満足な鎮痛と覚醒が得られた段階で退室

 

(4)ブロックの方法:

①両方のブロックとも

・麻酔導入後に患側上の側臥位で施行。カテーテルを留置して局所麻酔薬を持続投与

・Th4の棘突起を触知し、その外側1㎝を刺入点とし18GのTuohy針で穿刺

・超音波ガイド下には施行せず

・カテーテルはいわゆるアロンアルファで固定

・カテーテル留置が終わり仰臥位に戻った後、0.375% levobupivacaine 20mlをカテーテル越しに投与。その後0.25% levo.を4ml/hで持続投与を72時間施行(3mlのボーラス投与の併用が可能)

 

②Retrolaminar block(RLB)

・椎弓板に接触するまで刺入

・接触したら生食10mlでhydrodissection

・カテーテルを頭側に3cm hydrodissectionした腔内に留置

 

③Paravertebral block(PVB) 

・椎弓板に接触したらTuohy針を外側,頭側にwalking。loss-of resistance法で傍脊椎腔を確認

・カテーテルの留置法はRLBと同じ

 

(5)評価項目

Primary endpointは術後72時間に使用したPCAの回数

Secondary endpointは局所麻酔薬のCmax, Tmax(最初に20mlボーラス投与した5,10,15,20,30,45…120分後に動脈圧ラインから採血して評価)、術中のopioid使用量、PONV、患者満足度

 

【結果】

各群に15人ずつ割り当て。患者背景に両群で有意差なし。

・術中のRemifentanil使用量(p=0.0003)と術後24時間以内のPCAの使用回数(p=0.01)はRetrolaminar block(RLB)群が有意に多い

・術後、病棟に帰る前に投与したFentanylの投与量はRetrolaminar block(RLB)群が多いが有意ではない

・血中濃度、PONV、患者満足度は両者で差がない

・血中濃度の推移は両ブロックとも、局所麻酔中毒の危険がある2.1μg/mlよりは低く推移した。ボーラス投与15分前後で血中濃度は最高に達した

 

【考察】

今回の研究では、Retrolaminar block(RLB)は

・術中のRemifentanilの使用量、術後のFentanylの投与量、術後24時間以内PCAの回数はParavertebral block(PVB)に劣っていた

・しかしながら、PONVや患者の満足度には両者に差がなかった

・Retrolaminar block(RLB)はParavertebral block(PVB)に比べれば、気胸や血腫リスクは低い。血腫はあったとしても筋肉内であるから安全である

 

【結論】

Retrolaminar blockによる局所麻酔薬の持続投与は片側の非定型根治的乳房切除術の術後鎮痛に適用できる

 

【感想】

Retrolaminar block(RLB)についてはもちろんのこと、研究を組む際の評価項目やendpointの設定の仕方についてなど勉強になることの多い論文であると感じました。