気管支ブロッカーを用いた片肺換気時に笑気を混ぜることで肺の虚脱に対してどのような影響があるかという論文がありましたので読みました。

 

Bronchial Blocker Lung Collapse Technique: Nitrous Oxide for Facilitating Lung Collapse During One-Lung Ventilation with a Bronchial Blocker

Tatsuya Yoshimura, MD,* Kenichi Ueda, MD,† Akihito Kakinuma, MD,* Jun Sawai, MD,*and Yoshinori Nakata, MD, MBA  May 2014 – Volume 118 –  Anesthesia & Analgesia

 

〇背景

肺虚脱には二相性があり、第一相では肺の弾性力によって、第二相では気体の拡散によって虚脱する。特に第二相虚脱速度は肺胞にある気体の取り込み速度の違いで変化する。今回、気管支ブロッカーを用いて笑気が肺の虚脱を促進するか否かを明らかにすることを目的とした。

〇方法

笑気群はFiO2=0.5として導入後から片肺開始まで換気を行い、純酸素群はFiO2=1.0として導入開始から片肺開始まで換気をおこなった。換気設定はVt 10ml/kg、RR 10/min、流量 2Lで行い、Arndt®気管支ブロッカーを用いた。評価はDBで外科医によって行われ、肺虚脱尺度として0 =虚脱なし、10 = 完全虚脱とした。麻酔方法はAOPRであった。

〇結果

開胸してから5・10分後に笑気群で優位に虚脱していた。片肺換気開始後、呼気終末N2Oは漸減し5分で約10%、10分でプラトーに達した。片肺換気中PaO2に有意差は無く、低酸素による片肺換気中止症例は無かった。

〇結論

片肺換気開始後、純酸素で換気することで、換気側の笑気が排出され非換気側と圧力勾配が生じ、そのことで非換気側の笑気の吸収速度が上昇し、肺の虚脱が促進されると考える。気管支ブロッカーはダブルルーメンチューブと比較して肺虚脱が遅いというデメリットがあるため、笑気を混ぜることで、それを改善することが可能となるかもしれない。もちろん、喘息やCOPDの患者には適応できなくいが、一般的に言われている笑気の副作用であるPONVや感染率の上昇、心筋虚血に関しては今回のような短期間投与であれば問題ないと考える。