journal of anesthesia (IF>1.3) 2013, 27:199-204

Intubation time required for tracheal intubation with low-dose rocutonium in children with and without atropine

Hyun Jeong Kwak ら

 

小児の症例で低用量ロクロニクム+アトロピン投与をした際の気管挿管可能までの時間の検討

 

Abstract

前置きとして、

短時間手術などでは通常量筋弛緩薬では自然回復までの時間がかかる

スガマデクスでリバースできるがコスト的にいつも大量使用するのは厳しい

低用量ロクロニクムはオンセットが遅いし、持続時間が短い・・・

また、成人症例でロクロニクムの作用発現時間が循環動態因子に関与する(心拍出量に反比例する)という報告がある。

(Acta Anaesthesiol Scand. 2000;90:1217-9 IF>2.4)

それならば、小児では心拍数(HR)が心拍出量(CO)を決めるという考えより、アトロピンでHR(≈CO)を増やしたら、ロクロニウム作用発現時間は短縮されるのではないか?!

 

<目的>

Main outcome

  • プロポフォールとアルフェンタニル使用下の全身麻酔で、0.3mg/kgの低用量ロクロニウムを使用した場合の気管挿管達成可能な筋弛緩状態になるまでの時間(TimeET
  • また、TimeETはアトロピン(10μg/kg)併用で短縮されるか

※気管挿管時のコンディション評価であって、TOFウォッチ使用での正確な筋弛緩発現時間の評価ではない

Secondary outcome

  • 麻酔導入から挿管までの5つのポイントにおいて、HRとMAPは30%以上変化するか

 

<方法>

術前

  • 3~10歳、ASAⅠ、扁桃摘出術or鼓膜切開術を予定された小児46名
  • 生食群23名、アトロピン群23名(10μg/kg)
  • 入室前に24Gでルート確保、前投薬なし

麻酔

  • 酸素投与後に試薬を静注(5mlのシリンジ使用し、(体重あたりのアトロピン+生食)5mlまたは生食のみ5ml。麻酔科医はブラインド)
  • アルフェンタニル10μg/kgを20秒かけて投与
  • その60秒後にプロポフォール2.5mg/kgを20秒かけて投与
  • 閉眼後にマスク換気開始し、ロクロニクム0.3mg/kg投与後すぐにプロポフォール6mg/kg/hの持続投与開始

 

評価方法

  • ロクロニウム投与終了120秒後に挿管を試みて、コンディションの評価する

(1つでもpoorの項目に該当する場合は、「poor」とし、追加のロクロニウム0.3mg/kgを投与。Excellent は全部excellntの時のみ)

  • 循環動態(MAP,HR)は各5ポイントで評価する

 

<結果>

①患者背景有意差なし

TimeEI95:95%の患者においてexcellentな挿管コンディションになるまでの時間

③両群ともに薬剤投与が必要なほどの低血圧や除脈になることはなかった

 

<discussion>

  • 高用量ロクロニクム(0.5-1.0mg/kg)は挿管時のコンディションを特段よくさせるわけではなく、短時間手術時の麻酔回復を遅くするだけであるという報告あり
  • 今回0.3mg/kgに設定したわけは、以下の報告に基づいている

①小児のプロポフォール-レミフェンタニル使用全身麻酔でロクロニクム投与後90秒で最適な気管挿管コンディションになる

②成人のプロポフォール-アルフェンタニル使用全身麻酔でロクロニクム0.3mg/kg投与後2分で最適な気管挿管コンディションになる

③小児のハロセン使用全身麻酔でロクロニクム0.3mg/kg投与後87.3s(30-150s)で筋弛緩作用が出現した報告

④小児の症例で吸入麻酔薬使用なしで、ロクロニウム0.45mg/kg使用の場合3.1分で良好な喉頭展開ができると報告あり

  • 小児症例はいかにマスク換気の時間を減らすかが重要であるため、今回は気管挿管までの時間に着眼した
  • 周術期に筋弛緩モニター(TOF)装着なしのため、アトロピン使用によるロクロニクムのオンセットが早まったかどうかの検討はしていない

 

<結語>

  • 小児でのアルフェンタニルとプロポフォール使用の全身麻酔の際、低用量ロクロニクム(0.3mg/kg)投与後のTimeEI95(199秒)は、アトロピン併用症例で28秒の短縮が可能であった
  • 今後はアトロピンが筋弛緩薬のオンセットを促進するか否かを明らかにすることが必要
  • 併用薬剤の変更でさらなる短縮の余地ありということか