以下の論文を読んだので紹介します。
●The Impact of Spinal Needle Selection on Postdural Puncture Headache: A Meta-Analysis and Metaregression of Randomized Studies.
Reg Anesth Pain Med. 2018;43(5):502-508

●背景
・硬膜穿刺後頭痛(PDPH)は脊髄くも膜下麻酔に代表する合併症の1つである。
・過去にはPDPHと針の太さの関連やPDPHを予防するための非常に沢山の小規模研究がされてきたが、個々の技量や患者関連因子に関する包括した大規模研究は実施されておらず、推論の域を脱していない。
・脊髄くも膜下麻酔を施行した患者における針の太さと、種類とに関連するPDPHについて過去の前方視的ランダム化試験からメタ分析・メタ回帰分析を実施。
●方法
・文献データベース:MEDLINE、EMBASE、Google scholar
・期間:2017年10月まで
・データの抽出:評価者は、 2人の研究者が独立して検索。
組み入れられた研究は
Group A 針の種類を比較
Group B 同じ種類の針での太さの比較
にカテゴリー化。
PDPHに関連する、年齢・性別・体重・身長といった潜在的交絡因子も利用できる際は含めた。
・PDPHの定義:PDPHは仰臥位と比べて座位または立位で症状が強くなる硬膜穿破に関連する頭痛と定義。
また、各論文で定義があればそれを利用。PDPHの重症具合は今回のレビューの目的からは考慮せず。
・質の評価:個々の論文に対し、 Cochrane Collaboration Risk of Bias Toolを使用して評価。

●結果
GroupAがn=32,針の太さを比較したGoupBがn=25となった。
GroupAは分析1としてn=10055、GroupBは分析2としてn=6361でcutting針10研究、pencil-point針15研究だった。
分析1:直接cutting針とpencil-point針を比較。pencil-point針の使用で明らかにPDPHの発生は低下した。
サブグループ解析では、手術の種類や針のゲージ数の違いがあっても、cutting針とそれぞれ比較して、pencil-point針はPDPHの発生を低下させた。
分析2:53の文献(n=16116)から解析。最もPDPHの減少に重要な因子として、針の種類があり、それに続き、太さ、年齢、女性であることが明らかとなった。
統計的にcuttinng針におけるPDPHと針の太さは、逆の相関があり、針が細いほどPDPHの割合は低下傾向にあった。Pencil-point針では針の太さとPDPHに相関は見られなかった。
●考察
・この論文で明らかとなったPDPH予防の最も重要な因子は、cutting針ではなくPencil-point針を使うことである。
・Pencil-point針はcutting針のように硬膜繊維を横に裂くのではなく、押し分ける様に刺入されるため、繊維を傷つけることが少ない。
⇒硬膜繊維の欠損が軽度となり、脳脊髄液の流出が少なくなり、PDPHの発生が少なくなる。
・Pencil-point針はcutting針より膠原繊維を傷つけて穴をあけ、裂くため、その部位に炎症反応やむくみが生じ、それが蓋のように働き、脳脊髄液の流出が抑えられる仮説もある。
・メタ回帰分析では、cutting針ではPDPHと針のゲージ数には負の相関がみられたが、1ゲージ増えるごとにPDPHは3%減少。
・2つのメタ解析と1つの大規模後方視研究で細い針の方がPDPHの発生が抑えられるとの報告があったが、これらはcutting針での検討だった。
⇒以上のような細い針の使用の推奨から、Pencil-point針でも同様な思い込みが起こったと思われるが、 今回の検討ではPencil-point針ではゲージ数とPDPHの発生に相関関係はなかった。
・太いPencil-point針を用いてもPDPHの発生率は明らかには増加しない。
23-25GのPencil-point針使用が、PDPHの発生や穿刺困難などの技術レベルをカバーできる最も最良な選択と思われる。
★まとめ
・このメタ解析では強くPDPHの予防にpencil-point針を使用することを推奨。
・針の太さとpencil-point針に関連はなかった。
◎少し太めのpencil-point針を用いることが、より施行者もやりやすく、PDPHの割合を増加することなく成功する。