Pericapsular Nerve Group (PENG) Block for Hip Fracture
RAPM November 2018 IF 4.382
を読みました

大腿骨頸部骨折は高齢者に多く、合併症や死亡率も低くはない疾患です。
譫妄予防に麻薬使用量を減らすことが推奨されますが、そのために有効な周術期の鎮痛方法は明らかではありません。
これまでは大腿神経ブロックや腸骨筋膜面ブロック、3-in-1 blockなどが主に用いられていますが、これらは閉鎖神経をほぼブロックできないために中等度の鎮痛しかできていません。

前股関節包は大腿神経、閉鎖神経、副閉鎖神経の神経支配と報告されており、股関節において最も密に神経支配を受けているため、鎮痛のターゲットとなります。
Shortらは股関節の神経支配で副閉鎖神経と大腿神経が最も重要な神経としてこれらの関節枝をランドマーク法でブロックする方法を報告しました。
筆者らは大腿神経と副閉鎖神経の高位関節枝は下前腸骨棘(AIIS)と腸恥隆起(IPE)の間を常に通ることを利用し超音波ガイド下にこれらの神経の関節枝をブロックするPENG(Pericapsular Nerve Group) blockの方法と5人の大腿骨骨折患者に行った効果を報告しています。

仰臥位で実施し、下前腸骨棘(AIIS)の上に短軸でコンベックスプローブを置き、そこから恥骨上枝に平行になるように反時計回りに45°プローブを回します。
すると腸腰筋腱が短軸で見え、これと腸恥隆起の間に薬液を注入します。
筆者らはブピバカインまたはロピバカイン20mlを使用しています。

その結果、患肢をまっすぐに伸ばし15度挙上しても安静時痛はほぼ0に、体動時痛もNRSで平均6.8も低下しました。

股関節の骨折において神経ブロックは鎮痛方法としてよく用いられておりますが、最近のコクランレビューでは大腿神経ブロックや腸骨筋膜面ブロック、3in1ブロックなどをしてもNRSで3-4の痛みを軽減すると言った効果にとどまっていることがわかっています。
FICB,3in1ブロックでは閉鎖神経はブロックされていないことがMRIで確認されており、解剖学的にも股関節の鎮痛のためにはL4-5レベルの大腿神経の前枝と副閉鎖神経が重要と考えられます。
大腿神経前枝と副閉鎖神経はAIIS(下前腸骨棘)とIPE(腸恥隆起)の間を通ることは明らかで筆者らはここでブロックしています。ただし、局所麻酔薬がsubpectineal plane(恥骨筋と外内転筋の間の層)にまで広がるかは確認していません。

結論として5例と少ない症例数だが、NRSで7ポイント程度改善しており、これまでの報告よりも鎮痛効果は良好と考えられると言うことでした。

ただし、これで手術をしたというAnesthesiaではなくあくまでもAnalgesiaの補助と言うことですので適応は救急外来で痛がっている患者さんとかなのかもしれません。