経鼻挿管の前処置に関してエビデンスを調べてみました。

 

当院では下記の様々な組み合わせで前処置が行われています。

・血管収縮剤 フェニレフリン vs エピネフリン

・鼻腔投与方法 点鼻 vs 綿棒で塗布 vs コメガーゼ

・消毒 ポピドンヨード vs 消毒しない

・鎮痛剤 リドカイン vs 使用しない

 

ミラー麻酔科学では、

血管収縮薬として、1.5mg/kgのコカインorリドカイン・フェニレフリン混合液による点鼻が推奨されていますが、主にawake経鼻挿管を想定しているようです。

 

今回は、

“Effects of Nasal Application of an Epinephrine and Lidocaine Mixture on the Hemodynamics and Nasal Mucosa in Oral and Maxillofacial Surgery”

J Oral Maxillofac Surg 2018; 66: 2226-32 (IF:1.779)

の内容を紹介しました。

 

Introductionでは経鼻挿管の前処置例として、

・綿棒で1%リドカイン+0.001%エピネフリン+ポピドンヨード

・コメガーゼで1%リドカイン+0.001%エピネフリン

・循環動態の変動を考慮しエピネフリンのかわりにフェニレフリンの使用

などの記載がありました。

 

この論文では、

前処置を全身麻酔前にする群(n=10)、全身麻酔導入後にする群(n=8)で前処置や経鼻挿管前後での血圧・脈拍変化を比較しています。

 

この論文では0.1%エピネフリン2ml+4%リドカイン2mlをコメガーゼに浸し、ルーツェで鼻腔内に3分留置する方法で経鼻挿管前処置を行いました。

 

結果ですが、

どちらの群においても前処置後に明らかな脈拍や血圧の上昇を認めませんでした。

また、前処置後に鼻粘膜の容量と血流が減少している鼻粘膜写真が示されました。

抜管後も2名軽度鼻出血を認めたが、止血が容易な程度のものであったようです。

以上より、

・今回の前処置によって鼻粘膜の容量と血流が減少し、経鼻挿管の侵襲を軽減した。

・高濃度のエピネフリン(本研究では0.1%、通常0.01~0.03%)による前処置でも循環動態の変動がなかった。

と結論づけられています。

 

論文のエビデンスをまとめると、

・血管収縮剤 フェニレフリン vs エピネフリン

どちらもエビデンスあり。

・鼻腔投与方法 点鼻 vs 綿棒で塗布 vs コメガーゼ

すべての方法の記載あり。

・鎮痛剤 リドカイン vs 使用しない

Awake経鼻挿管時は使用を考慮すべき。

となりました。

 

・消毒 ポピドンヨード vs 消毒しない

に関しては、明らかなエビデンスを見つけることはできませんでした。

個人的には不要と考えますが、日本国内では使用している施設は多そうです。

(ポピドンヨード使用のreferenceも日本語論文でしたし、大阪大学のマニュアルにもポピドンヨードの記載はありますが、海外の報告は一つも見つかりませんでした)